今回は、多くの受験生が苦戦している英文解釈の具体的な勉強法や長文読解にも生かせる効果的なやり方を解説していきます。
こんな人におすすめ
・英文解釈に苦戦していて具体的なやり方&勉強法を知りたい人
・長文読解中、文構造が複雑になると途端に読めなくなる人
・単語はわかるのに、なぜか意味がつかめない人
英文解釈が大事な理由→実際の英文解釈のやり方を実演という流れになっています。
英文解釈は「読める」を「わかる」に変える核(コア)
最初に英文解釈について説明します。
英文解釈とは、文型、品詞、修飾関係(働き)などの英文の構造を正確に分析し、一文一文の意味を正確に理解する力を指します。単語や熟語を覚えるだけでは、文章全体の複雑な構造を把握することはできません。
英文解釈は、まさに「読める」を「わかる」に変えるための核(コア)であり、長文読解の土台となる最も重要な知識なのです。
英文解釈はすべての土台
「英文解釈って、なんか難しそう」「英文法と何が違うの?」そう思うかもしれません。
しかし、英文解釈は、単語・熟語・英文法の知識を「つなぎ合わせて意味を理解する」ための最も基礎的なスキルであり、英語学習のあらゆる場面で不可欠です。
単語・文法だけでは「点」にしかならない
どれだけ多くの英単語や英文法を覚えていても、それらはバラバラの「点」に過ぎません。
もちろん、単語、熟語、文法の知識も大事です。
これらは「点」増やす勉強だと認識してください。
例えば、「He runs fast.」という簡単な文でも、単語の意味が分かっても、誰がどう走るのか、その関係性が分からなければ正確な理解には繋がりません。
複雑な文章になればなおさらです。
The students who studies hard and actively participates in class often achieves excellent results in examinations.
この文を単語ごとに見ていくと、「学生」「勉強する」「熱心に」「そして」「積極的に」「参加する」「授業に」「しばしば」「達成する」「素晴らしい」「結果」「試験で」となります。
単語の意味は分かっても、誰が何を達成するのか、どの言葉がどの言葉を修飾しているのかが分からなければ、正確な意味を捉えることはできません。
英文解釈は、これらのバラバラな「点」を「線」で結びつけ、さらには文章という「面」として理解するための地図のような役割を果たします。
単語の意味を調べ、文法ルールを適用することで、一文一文が持つ正確な意味を読み解くことができます。
複雑な英文を「構造」で捉える
高校で学ぶ英文は、主語が長く、複雑な修飾語句が絡み合い、倒置や省略、挿入など、一見しただけでは意味がとりにくいものが増えてきます。
英文解釈は、こうした複雑な英文を、S(主語)、V(動詞)、O(目的語)、C(補語)といった基本要素と、M(修飾語)という補助要素に分解し、それぞれの要素がどのように関連し合っているかを明らかにする作業です。
まるでレゴブロックのように、一つ一つのパーツがどのような役割を持ち、どのように組み合わされているかを理解することで、どんなに複雑な英文でも、その全体像と意味を正確に把握する力が養われます。
これができるようになると、どんなに長い文でも、どこが主語でどこが動詞なのかがわかるようになり、意味の塊ごとに正確に理解を進められるようになります。
英文解釈は長文読解と紙一重!合格への架け橋
英文解釈は、一文単位での理解力を高めるものです。
では、それがなぜ長文読解に直結するのか? 答えはシンプルです。長文読解は、一文一文の正確な解釈の積み重ねで成り立っているからです。
「木を見て森も見る」ための基礎力
長文読解は「森を見る」ことに例えられます。森全体を理解するためには、まず一本一本の「木」がどんな木なのか、どこに立っているのかを正確に把握する必要があります。
もし一本一本の木がどんなものか分からないままで森を見ても、「ぼんやりとした木々の集まり」としか認識できません。
英文解釈は、この「一本一本の木」(=一文)を正確に理解する力です。各文の構造を正確に解釈できるようになれば、それぞれの文が持つ意味が明確になり、それが積み重なって段落全体の意味、さらには文章全体の論理展開や筆者の主張をスムーズに理解できるようになります。
逆に、英文解釈がおろそかだと、いくら速読術を学んでも、表面をなぞるだけで内容を正確に把握することはできません。
制限時間内に正確に読むための土台
大学受験の英語では、限られた時間の中で膨大な量の英文を読解しなければなりません。
この時、一文一文で立ち止まって文構造を考え込む時間はありません。
しかし、英文解釈の訓練を積むことで、複雑な文でも瞬時に構造を把握し、意味を正確に掴むことができるようになります。
まるで熟練の職人が、材料を見ただけで完成形を想像できるように、英文解釈のトレーニングを積めば、複雑な英文を見ただけで、頭の中で瞬時にその構造を組み立て、意味を理解する「英文読解の勘」が養われるのです。これが、制限時間内に高得点を取るための必須条件となります。
具体的な英文解釈を英文を用いて実演!
それでは、実際に英文を使って、英文解釈の具体的な手順を見ていきましょう。
以下の英文を例に解説します。
The belief that global warming is a serious threat to human civilization, which has been increasingly supported by scientific evidence, is now widely accepted by the public.
この英文は少し長いですが、一つずつ分解していけば必ず理解できます。
ステップ1:主語(S)と動詞(V)を見つける
最初に、文の骨格となるSとVを見つけます。
このときのSは「構造上の主語」Vは「述語動詞」を見つけてください。ここをミスると全てミスります。
今回のSはThe belief、Vはisです。
主語と動詞は、文の「核」です。どんなに長く複雑な文でも、このSとVを正確に特定することが最初の目標です。修飾語句に惑わされないように注意しましょう。
ステップ2:主節と従属節の特定
次に、主節と従属節(重要!)を特定していきます。
なお、従属節は、名詞節、形容詞節、副詞節の3つに分かれます。
主節と従属節を簡単におさらいすると、
【主節】
・文の中心となる部分で、それだけで意味が通じる独立した節
・文の述語 (動詞) を中心とし、主語を含む
・接続詞や関係詞で他の節と結びついていない、独立した文
【従属節】
・主節に付随し、文の中で名詞、形容詞、副詞の役割を果たす節
・接続詞や関係詞を伴って主節に接続
・従属節は単独では意味をなさないため、必ず主節が必要
今回の英文では、
名詞節:that global warming is a serious threat to human civilization
→学校だとthat節と教わることが多いです
→行く割として、主語「the belief」の内容(=何を信じているのか)を説明しています
→訳:「地球温暖化が人類文明への深刻な脅威であるということ」
形容詞節:which has been increasingly supported by scientific evidence
→よく関係詞節(which節)と呼ばれています
→先行詞「belief(信念)」を修飾しています
→訳:「その信念は科学的証拠によってますます支持されてきた」
ステップ3:文型を考える
次に、S,V,O,Cを考えていきます。
S(主語):The belief that global warming is a serious threat to human civilization
V(動詞):is
O(目的語):なし
C(補語):now widely accepted by the public
したがって第2文型になります。
ここは、飛ばしてもOKです。
ステップ4:日本語に訳す(直訳を心がける)
各意味の塊ごとに直訳し、最後に自然な日本語にまとめます。
The belief
訳:その考え
that global warming is a serious threat to human civilization
訳:地球温暖化が人類文明への深刻な脅威である(という考え)
which has been increasingly supported by scientific evidence
訳:その考え(信念)は科学的証拠によってますます支持されてきた
is now widely accepted
訳:今や広く受け入れられている
by the public
訳:一般の人々によって
まとめると
「地球温暖化が人類の文明にとって深刻な脅威であるという考えは、科学的根拠によってますます裏付けられてきており、今や一般の人々に広く受け入れられている。」
英文解釈を効果的に学ぶための勉強法
具体的な英文解釈の練習を積む上で、意識してほしい勉強法がいくつかあります。
英文解釈ノートをつくる
英文解釈用のノートを1冊用意しましょう。
1.英文を書き写す
→ 問題の英文を丁寧に書き写します。
2.スラッシュ・括弧・SVOCMを書き込む:
→分析した結果を英文の上に書き込みます。
3.直訳と意訳を書く:
→自分で導き出した直訳と、最終的な自然な和訳を併記します。
4.気づき・文法事項をメモ
→なぜこの構造になるのか、使われている文法事項(例:同格のthat節、非制限用法、分詞構文など)を簡単にメモしておくと、後で見返したときに理解が深まります。
5.音読する
→ 解釈が終わった英文を、意味を理解しながら音読することで、英語のリズムと構造が体にしみこんでいきます。
このノートは、自分専用の英文解釈のストックです。
後で見返すことで、自分の成長を実感できるだけでなく、苦手なパターンを効率的に復習できます。
参考書を徹底的に活用する
英文解釈に特化した参考書を1冊選び、徹底的にやりこみましょう。
おすすめの参考書は、『英文解釈の技術100』シリーズや『ポレポレ英文読解プロセス50』、英文問題精講シリーズなどです。
【使い方】
1.まず自分で解釈してみる(上記のステップ1〜4)。
2.答え合わせをする際に、解説を隅々まで読み込む。
3.自分が気づかなかった文法ポイントや、より効率的な解釈の視点を発見する。
4.納得できるまで繰り返し復習する。
毎日続ける=習慣化する
英文解釈は、一朝一夕で身につくものではありません。毎日少しずつでも継続することが何よりも重要です。
1日1文やると決めて、歯磨きのようにやることを当たり前にしましょう。
まとめ
今回は、英文解釈の具体的なやり方&勉強法について解説してきました。
英文解釈は、単なる受験科目のスキルだけでなく、英語という言語の奥深さを知り、「わからなかった英文が、ある日突然スッと頭に入ってくる」という、言葉では言い表せないほどの喜びを味わえるものです。
最初は大変に感じるかもしれませんが、一文一文と真剣に向き合うことで、必ずあなたの英語力は劇的に向上します。
英文解釈の力がつけば、長文読解問題はもはや怖くありません。読める!わかる!という喜びを力に変え、志望校合格という大きな目標を掴み取ってください!
今回は以上。
最後まで読んでくれてありがとう!
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